せっけんフォーラム「100年後の水を守るためにできること」~生活クラブ東京~
生活クラブ生活協同組合・東京
2022年11月3日(木)
近年、生活排水による海洋汚染、気候危機による水環境の変化が顕著になっています。100年後の水環境を守るために、生活や社会をどのように変えていけるのか?生活クラブ東京 環境政策委員会で「せっけんフォーラム」を開催し、世界の水問題に詳しい水ジャーナリストの橋本淳司さんから現在の「水」の状況と今できることをうかがいました。
橋本さんは世界33カ国の水辺を旅しながら水と人の暮らしについて調査をされていて、世界や日本各地で地球温暖化に伴う気候変動は人間の暮らしと深く関係していることから気候変動を意識するようなったそうです。
家庭の生活排水で汚染された水に魚が住めるまでに、使用済み天ぷら油(500mℓ)は一杯10ℓのバケツで9,900杯、米のとぎ汁(2ℓ)は120杯、ラーメンの残り汁(200mℓ)は99杯の水が必要とは驚きでした。そして川の様子や汚染の状況が見えなくなり、生活排水への注意喚起も無くなってきている結果、日頃から「排水口に流さない」というのが家事の基本なのかと思いきや人々の意識が薄れ実践できていないと聞きショックを受けました。また、廃棄された使用済みプラスティックの海洋流出が大きな社会問題になっています。日本近海では他の海域より30倍の量のマイクロプラスティックが漂流していて、排水としては人工芝、農業用の肥料カプセル、化粧品や洗顔料に含まれるマイクロビーズが下水に流れことで海の環境汚染につながります。廃棄されたペットボトル、レジ袋、おむつ、トレイなどが破砕されて自然環境に影響を与えています。その中でも使い捨てペットボトルが多く、プラスティックの大量生産・大量消費が気候危機につながっています。
気候危機による気象の変化は、やはり私たちの暮らしからだと改めて実感させられ、節水や分解が早いせっけんを利用する、生活排水を流さない、使い捨てプラスティックの使用量を減らすなど、一人ひとりが身近に取り組める対策を考え、すすめていくことが大切です。
橋本さんが最後におっしゃった「明日からできることは水筒とせっけんを使うこと!」をおおぜいの人と共有して、生活スタイルを見直し、貴重な水をどう守るのかを考える活動につなげたいと思いました。
橋本淳司氏の著書紹介:
『水辺のワンダー~世界を旅して未来を考えた~』文研出版
『100年後の水を守る~水ジャーナリストの20年~』文研じゅべにーる